和牛は温暖な気候で育てられているだけではなく寒い地域でも育てられています。
寒さといった環境も関係しているのでしょうか。
東北地方ではおいしいと称賛される和牛たちが育てられています。
東北地方の中でも、山形牛は注目されている牛のひとつ。
総称 山形牛についての解説と、おすすめのおいしい山形牛についてもご紹介していきます。
山形牛は「総称 山形牛」になります
山形県内で肥育された黒毛和種が「総称 山形牛」です。
東北エリアのブランド牛というと山形牛よりも米沢牛を思い浮かべる人もいるかもしれません。
米沢牛は総称 山形牛の中のブランド牛となります。
東北に旅行に行った際に食べる機会があったり、ギフトとしていただいたり、ふるさと納税の返礼品としてもらったりして山形牛をいただく機会があり、その美味しさに魅了される人も多くいます。
山形牛と呼ばれる基準とは
山形牛は以下の3つの基準に基づいて認められます。
① 山形県内において、最も長く育成・肥育され、かつ最終飼養地が山形県内である未経産及び去勢の黒毛和種。
②公益社団法人日本食肉格付協会が定める肉質4等級以上のもの。
③ただし、1の条件を満たし、肉質が3等級についても同様に取り扱う。
参考:山形肉牛協会より
上記の基準を見ていると肉質は3等級以上でも認められる場合があるというのがわかりますね。
未去勢とも書かれていますが、実際に出荷されている山形牛の多くが未出産の雌牛が多いです。
ブランド牛の種類によっては、素牛の段階から厳しい決まりがあるものもありますが、山形牛の場合、素牛に関する指定は黒毛和種という以外、特にありません。
山形牛の素牛は県内の他、宮城県・岩手県といった県外から選ばれています。
総称山形牛でも注目されている米沢牛
総称 山形牛の中で名が最も知られているのが米沢牛ではないでしょうか。
米沢牛は以下の定義によって認められる黒毛和種です。
・置賜三市五町に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定を受けている居住者
・登録された牛舎での飼育期間が最も長い
・黒毛和種の未経産雌牛
・米沢牛枝肉市場、東京食肉中央卸売市場に上場されるか、指定された条件のもと公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉
・米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は
研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いが可能
・ 生後月齢32ヶ月以上で肉質、外観が3等級以上の枝肉
参考:米沢牛銘柄推進協議会
米沢牛と認められた枝肉には「米沢牛購買証明書」がつけられます。
三大和牛に引けを取らないブランド牛
米沢牛の強いうまみを含んだ美味しさは評判が良いです。
日本三大和牛は特に定義や決まりがないのですが、これまでは松阪牛・神戸牛・近江牛といわれていました。
ここ最近では、米沢牛も三大和牛に入るのではないかといわれるほど評判が良いです。
そのため、日本四大和牛という表現をする場合もあるほど。
それだけ米沢牛は他の三大和牛とひけを取らない美味しさを持っているのです。
実際に肉質の中でも最高級といわれる5のランク。
この最高ランクが多く出ているのは山形県の和牛と言われています。
米沢牛と山形牛の違いは?
米沢牛と山形牛の違いには以下があります。
・山形牛
山形県内で最も長く飼育されている
未経産および去勢の黒毛和種
・米沢牛
山形県置賜三市五町の牛舎に限定されており、最も長く飼育されている
未経産雌牛の黒毛和種
山形牛に比べると米沢牛の方が性別の限定や飼育される牛舎の地域にも限りがあるといった違いがあります。
出荷頭数では山形牛が年間で13,000頭前後、米沢牛の場合は年間2,000頭前後となるので、山形牛はブランド牛の中でもある程度出荷頭数は多い方になります。
タイ、香港、アメリカ、台湾といった国への輸出実績もあります。
一方、米沢牛の場合は出荷頭数が少ないブランド牛です。
そのため、価格は山形牛の方がお手頃に購入できる価格です。
米沢牛は希少なブランド牛となるので価格も高めになります。
安心して山形牛を購入できる目印
総称 山形牛として認められた枝肉には以下がつけられます。
・山形牛の産地証明書
・山形牛のシール
購入する際にはついているかどうか確認してみると良いでしょう。
山形牛の産地証明書について
産地証明書には以下の情報が記載されます。
・発行No
・出産地
・生産者
・取引場所
・枝肉No
・個体識別No
・格付け
山形牛のシール
品質的にも確かな山形牛を購入する際には山形牛のシールが貼られているかどうかも確認したいところです。
山形牛として認められたものだけに貼られるので、安心して購入できるかどうかの判断基準となります。
山形牛が誕生した地域:寒暖差の中でゆっくり肥育される
総称 山形牛が誕生した山形県は四季がはっきりしている地域です。
夏は30℃越えの真夏日が何日も続くほど暑くなり、冬になると氷点下になる日が続くほど寒さが厳しくなる。
冬の時期の最低気温でもマイナス10℃位になる事もあります。
雪も降り積もる地域になるので、1m近い積雪になる時期も。
そして昼夜の寒暖差も大きい地域です。
一見、温度環境で言うと牛にとってストレスがかかってしまうようにも見えてしまいますが、寒暖差がある分、急激に育つことはありません。
山形牛の出荷は大体30〜36ヶ月くらいといわれています。
一般的な和牛の出荷が25ヵ月あたりで出荷される点を考えると、肥育に長期間かかっているのがわかります。
厳しい環境によって成長が遅れてしまいますが、違う視点で考えてみると、長い期間をかけてゆっくりと成長させていく事が出来、その分、肉質も良くなっていくのです。
ゆっくり成長していく分、赤身部分に細かいサシを含んだ体に成長していきます。
山形牛はうまみが強いという特徴があるのですが、この生育期間が長いという点も関係してくるのです。
豊富な自然に囲まれて育っていく山形牛
山形県は奥羽山脈・内陸盆地・出羽山地 といった地形で豊かな自然に囲まれている地域です。
慶次清水・滝の清水・館清水 など、山形県を代表する湧水で紹介されるほど水質の良さにも恵まれています。
牛は毎日30〜50リットル近く水を飲むといわれている程なので、質の良い牛を育てていくのにおいしい水は欠かせません。
更に山形県内は農産物も豊富です。
寒暖差がある地域の野菜や果物はおいしくなるといわれていますが、同様においしい高品質な和牛が育てられているのです。
飼育生産農家の技術力
山形牛の美味しさ、品質の高さの秘密は澄んだ空気と豊かな自然、きれいな水、寒暖差のある気候といった条件も大きく関係していますが、肥育していく生産農家さんたちの細やかな気配りや高い管理能力も必要です。
毎日成長具合や体調を見ながらエサの配合を一頭ずつ変えて調整していく。
生産農家さんによって配合しているエサの内容や配合具合も変わってきます。
経験や実績を生かして管理していきます。
山形牛が誕生した歴史
牛肉は元々、食用として流通する前は滋養強壮の薬として流通しています。
昔の山形県内でも牛肉は薬用として使われる事がありました。
山形県内での肉牛の歴史は米沢市から始まったと言っても良いでしょう。
米沢藩主上杉綱憲公の文書によると、当時、置賜地域と呼ばれている地域(現在の米沢市・長井市・南陽市・高畠町・川西町・小国町・白鷹町・飯豊町)では、岩手県の南部より2〜3才の牛を移入ていました。
移入した牛は「上り牛」と呼ばれ、役牛目的で飼育しつつ肥育をしたところ良い肉質の牛が育てられたとされています。
米沢牛に魅了された外国人の存在
時は1871年、明治時代の初期。
当時の米沢市には上杉米沢藩の藩校(藩士の子弟を教育する場)があり、英語を指導していたイギリス人、チャールズ・ヘンリー・ダラス氏がいました。
一緒に連れてきたコックに牛を調理させて食べてみたところ、牛肉の美味しさに驚嘆したといわれています。
その後米沢で初めての牛肉店をその料理人に開かせてしまうほどでした。
米沢牛の美味しさは横浜でも評判
指導の任期が終わり、米沢を離れる際に米沢の牛があまりにもおいしいと思っていたのでしょう。
横浜への居住へ帰京する時に牛一頭を持ち帰ってしまうほどでした。
この当時、外国人の居住が多かった横浜で、この牛をふるまい、味の美味しさを高く評価されているといわれています。
そこでダラス氏は米沢の家畜商と横浜の問屋との契約を結ぶようにして「米沢牛」として売り出すようになったのです。
米沢から出荷された牛という事で、「米沢牛」という名が日本国内で知られるようになりました。
山形県内でのブランド牛が続々と誕生
米沢牛が世に知られるようになってから、県内では牛の肥育が行われるようになりました。
明治時代の中頃になると、山形県内でも放牧場やと畜場が増えてきて本格的に米沢牛の産業が進んでいくようになります。
飯豊牛や西川牛、天童牛、東根牛、尾花沢牛といったブランド牛が誕生していきます。
品質規格の統一として昭和37年に「総称 山形牛」と呼ばれるようになったのです。
この統一は、当時県知事でもあった安孫子藤吉山形県知事の首唱によるものでした。
その後、山形牛の名前は幅広く知られるようになり、山形県は肉の産地としても知られるようになったのです。
山形牛の味の特徴
山形牛は寒暖がはっきりしている地域でじっくり時間をかけて育てられているので、他のブランド牛に比べるとサシの入り方がとても細かい見た目。
そしてサシの細かさも美しいです。
赤身のうまみ成分も強く、脂身に含まれるうまみ成分と一緒に味わう事で格別の美味しさを味わえます。
うまみ成分が強い分、味付け自体が薄くてもおいしく食べられるのも山形牛の特徴の一つといってよいでしょう。
おすすめの山形牛の食べ方は?
山形牛が手に入った時や、食べに行く機会がある時におすすめしたいのは焼肉やステーキです。
ステーキは香ばしい焼き目をつけて食べるのがおすすめ。
焼き加減はミディアムレアがおいしく食べられます。
中のお肉はトロリとした美味しさです。
焼肉の場合は、肩やばら肉もおすすめですが、希少部位もおいしく食べられるので、色々な部位を食べ比べるのも良いですね。
焼肉は焼きすぎないようにご注意ください。
良質な脂を含んでいるので、焼き過ぎてしまうと山形牛の持ち合わせている美味しさを存分に味わうことができなくなります。
さっと火を通す程度で焼き上げて、とろける食感を楽しんでください。
ご自宅でプレートを使って焼肉をする場合は高温にして短時間で焼き上げてみると良いでしょう。
山形牛はサッと煮て食べるのも最高です
薄切り肉が入手できた時はすき焼きやしゃぶしゃぶがおすすめです。
肉質が柔らかくうまみも強いので、すき焼きの割り下との相性もとても良いです。
しゃぶしゃぶもさっと調理する程度になるので、程よく脂が溶け、とろけるように柔らかくなったお肉を味わう事が出来ます。
米沢牛や山形牛をすき焼きで食べる際のポイントは直接焼かない方が良いです。
他の一般的な交雑種や海外種の牛に比べて脂の融点が低いという特徴があります。
お肉を手に乗せても脂が溶けてくるほど、融点は低いです。
置賜風のすき焼きの食べ方は最後に肉を入れる方法です。
野菜の上に肉を乗せて調理してみてください。
野菜を蒸す蒸気熱を利用して加熱する方が肉にとって程よく熱が伝わりおいしく食べられます。
しゃぶしゃぶもだしにくぐらせる時間は短時間で充分です。
軽く熱が入ってピンク色になった程度が最高です。
とろける味わいになります。
もし山形県内のお店に食べに行く機会があるようであれば、握り寿司もおすすめです。
脂乗りがよくとてもおいしいと評判です。
まとめ
山形牛の美味しさが世に広がるきっかけとなったのは一人の外国人でした。
米沢牛をはじめとして飯豊牛や西川牛、天童牛など多くの銘柄が誕生したため、品質規格の統一として「総称山形牛」と呼ばれるようになりました。
寒暖差がある気候でゆっくりと肥育していく山形牛は肉質が柔らかく、サシの入り方も細かいです。
そしてうまみが強いという特徴があるので、ステーキや焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶで食べるのがおすすめ。
とろける食感を一度、味わってみてください。
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