近江牛といえば、松阪牛・神戸牛に次ぐ日本三大和牛に入るブランド牛です。
そして何より歴史がある牛としても知られています。
近江牛はどのような牛なのか、どのような歴史があるのか、おいしい食べ方など、近江牛について解説していきます。
近江牛はどんなブランド牛?
滋賀県で最も長く飼育された黒毛和種の内、一定の基準を満たしたものだけが「近江牛」と認定されます。
日本三大和牛に入っており、松阪牛や神戸牛の印象が強いかもしれませんが、有名シェフや高級レストランのメイン食材として選ばれる事が多いのが近江牛です。
そしてブランド牛の中では一番歴史が古い牛になります。
和牛の中の黒毛和種について
ビーフの中でも高い品質のお肉として知られている和牛。
「和牛香」と呼ばれる和牛のみに感じられる甘い香りも特徴のひとつ。
和牛は国内で生まれ育った黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種とこの4種同士での交配種のみと決められています。
その中でも黒毛和種は黒または茶褐色の毛が特徴的で乳牛でもあるホルス多飲種よりも小さい体格の牛です。
しまった身体、そして赤身に細かく脂肪が入り込むのが特徴としてあり肉質は柔らかくキメの細かさもあります。
和牛の中でも黒毛和牛は90%以上の割合を占めている種類です。
近江牛も黒毛和種に当てはまります。
和牛と国産牛の違い:似ているようで違うのでご注意を!
ここでちょっと和牛と国産牛の違いについても解説しておきます。
和牛は先程先述したように黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種とこの4種同士での交配種という決まりがあります。
そして国産牛に関してですが、日本国内での飼育期間が長かった場合、国産牛として出荷する事が出来るのです。
例えば以下の場合は国産牛として出荷されます。
・海外で生まれてから6か月後に日本に運ばれ、日本で2年以上飼育されていた牛
・食用ではなく乳牛で育てられていた種(ホルスタインなど)の肉
・和牛とホルスタインなどの交雑種の牛の肉
このように見ていると聞いた感じは似ているように思えますが大きな違いが出てきます。
牛肉の表示を見る際に参考にしてみてください。
近江牛が誕生した地域:のびのびと育てられる近江牛
近江牛の定義の中に以下の言葉があります。
「豊かな自然環境と水に恵まれた滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種」
参考:「近江牛」生産・流通推進協議会より
近江牛が誕生した滋賀県は琵琶湖に面している地域としても知られていますね。
琵琶湖は川の終点となるのですが、その流れ込んでいる川の数は400以上ともいわれており、豊富な水源がある地域です。
広大な琵琶湖・山々から流れてくるおいしいお水・そして広大な自然・そして土壌にも恵まれているので農業も盛んにおこなわれています。
自然が豊かな環境でストレスもなくのびのび育っている近江牛。
牛を育てる際は、つないで育てるよりも、放牧で育てられた方がストレスは少なくなるといわれています。
夏もそれほど暑すぎるという環境にならず、冬も寒すぎる事は無い気候。
牛にとっても過ごしやすい風土と言えます。
土壌の良さもあるので質の良い牧草をはじめとしたエサを与える事も出来ます。
自然豊かな滋賀県は近江牛という品質の高い牛を育てるのに最適な環境なのです。
近江牛は滋賀県内で育てられているという条件がありますが、滋賀県内の中でも近江八幡市・東近江地域が多いです。
近江牛の歴史は他のブランド牛よりも長い
先程少し触れていますが、ブランド和牛の中で、近江牛は一番歴史が古いと言われています。
日本三大和牛で見ていくと、松阪牛で100年程度の歴史があるといわれ、神戸牛で130年近い歴史といわれているのですが、近江牛は400年以上の歴史があるといわれているのです。
圧倒的ですね。
昔は味噌漬けにされていた記録がある
近江牛の歴史として記録が残っているのは江戸時代にさかのぼります。
江戸時代といえばその当時、肉食は禁食とされていたのですが、なぜ牛肉に関する記録が残っているのでしょうか?
それは彦根藩が他とは違うという点が関係してきます。
1687年の事。
彦根藩において花木伝右衛門が、牛肉の味噌漬けを考案し、 「反本丸(へんぽんがん)」と称した記録が残っています。
反本丸は、明の李時珍の著書でもある「本草綱目」を参考に考えられたとされています。
肉食の禁食がある時代だったため、反本丸は養生薬として扱われていました。
つまり、牛肉を食料ではなく薬として流通させていたのです。
反本丸は日本各地に知られるようになり、彦根藩主井伊家より江戸の将軍家や諸侯にも献上されていたほど。
近江牛は将軍や大名にも献上されていたという事になります。
将軍家から彦根藩への礼状が残っているといわれています。
そして反本丸の他にも彦根藩では「寒」と呼ばれる干した牛肉を作っていた記録も残っています。
この製法はなるべく塩分を控えるために冬の寒い1ヶ月だけ期間限定で作られていたといわれています。
牛肉を干したものなので、現代で言えばビーフジャーキーのようなものとなります。
こちらの「寒」干肉も薬用として流通させていたとのことです。
滋養の薬として徳川将軍家に献上していた時には、「彦根牛」とよばれていました。
反本丸が流通していた背景
江戸時代、当時の近江では牛は農耕と運搬をさせる役牛として育てられていました。
農家では当たり前のように牛がいて牛と主に農作業を行う生活です。
牛は6歳を超えたあたりから働きが悪くなります。
そうなると若い牛と交換していたのです。
当時、家畜の殺生が禁じられていた時代でしたが、彦根藩は太鼓に使う牛皮を幕府に献上していた事もあり、牛の屠殺が認められていました。
役牛として利用できなくなった牛を集め、屠殺する事で牛肉を手に入れる事が出来たのです。
彦根藩は反本丸や干し肉として販売していく事が出来る特殊な環境だったともいえます。
何日もかけて牛肉を運んでいた
明治時代になると西洋文化が入り食事内容にも変化が出てきます。
外国人の移住に伴い牛肉を必要としていた人に向けて、近江商人は陸路で17日〜18日間かけて牛を横浜まで運び取引したといわれています。
東京では牛鍋と呼ばれる、現代でいう「すき焼き」のお店も登場するようになりました。
近江肉牛協会の設立
昭和26年に「近江肉牛協会」が設立され、近江牛のPRなども行い、近江牛というブランドが広く知られるようになりました。
近江牛はGIにも登録されています
地理的表示(GI)保護制度というものがあります。
これは、生産性、品質製の特性が結びついた品に対し、農林水産省が知的財産として登録し、保護する制度です。
近江牛は平成29年12月15日に滋賀県の産品として初めて登録されています。
今、日本国内ではブランド牛の数も増えてきています。
その数は300以上ともいわれています。
近江牛のブランド力を高めるためにもGIの登録を行う事で安心して近江牛を生産を行えるようにしています。
近江牛の定義とは
先程、滋賀県の環境をご紹介している際にも登場していますが、近江牛の定義として以下があります。
「豊かな自然環境と水に恵まれた滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種」
素牛に関しての決まりは黒毛和種であれば特に厳しく決められていません。
滋賀県内で育てられている期間が一番長いという事が定義に当てはまります。
近江牛は3つのステージに分けられている
近江牛の定義に当てはまった牛は3つのA・B・Cの3つのステージに分けられます。
その中でも「Stage A」とされる近江牛に対しては、「認証 近江牛」として認められるのです。
近江牛の認証を受けたという判別法は、認定証の発行、そして認証シールを貼ることが認められています。
近江牛を購入したいという際は、お店に認定証があるか、そして認証シールが貼られているかを確認することで認証された近江牛を購入する事が出来るのです。
「認証 近江牛」となるための基準
枝肉の格付けがあります。
格付けというとわかりにくいかもしれませんが、高級なお肉で「A5」「A4」という言葉を聞いた事があると思います。
それが肉の格付けです。
歩留まり等級と肉質等級の組み合わせで評価されています。
歩留まり等級
ランクはAからCランクまでです。
枝肉(皮や骨、内臓を取り去った肉)の割合が多くなると一番高い評価のAランクとされます。
肉質等級
霜降りの入り方・肉の色沢・肉の締まり及びきめ・脂肪の色沢と質を5段階で評価しています。
5が最も高い評価になります。
「認証 近江牛」となるためには、歩留まり等級がB以上で肉質等級が4以上です。
つまり以下の格付けが「認証 近江牛」となります。
・A4
・A5
・B4
・B5
近江牛の出荷頭数はどのくらい?
滋賀県内で大切に育てられて出荷されている牛です。
県内でも約75戸の生産者、そして近江牛として出荷される頭数は毎年約6,000頭といわれています。
この出荷頭数はあまり多いとは言えない数です。
例えば他のブランド牛を例に挙げてみますと、令和2年に但馬牛として認定されているのが6,790頭・うち神戸牛として認定されている数が6,120頭です。
(神戸ビーフ・神戸肉流通推進協議会 より)
他のブランド和牛よりも少ない出荷数になる年もあると考えた方が良いでしょう。
ただ、出荷頭数が少ない分、それだけ丁寧に育てられているという事もわかりますよね。
出荷頭数を見ていると生産者のこだわりも伝わってきます。
近江牛の味の特徴
近江牛は黒毛和牛の特徴でもあるサシが細かく入り、きれいな霜降りのお肉です。
口に入れた途端、脂がとろけ、食べた後のうまみもしっかりと残る深みのある味わい。
そのため、和・洋・中どのジャンルの調理にも合います。
高級料理店や有名シェフがビーフをメインにする際に近江牛を選ぶケースも多いといわれるのも納得できますね。
オレイン酸を多く含んだ脂
近江牛の脂の融点(溶けだす温度)は約24.8度と言われています。
一般的な牛の脂の融点は30℃程度だと言われているので融点が低いというのがわかりますね。
特に雌の方が融点が低いと言われています。
不飽和脂肪酸含量が高いとその分脂の融点が下がると考えられており、近江牛に含まれている脂にはオレイン酸が多いと言われています。
そしてオレイン酸はうまみも関係しているので、食べた時においしいと感じる脂ともいえるでしょう。
近江牛のおすすめの食べ方は?
近江牛といえばとろけるような細かいサシが入っているので、断然すき焼きやしゃぶしゃぶで食べるのがおすすめです。
脂の融点が一般的な牛肉に比べて低いので、長時間煮てしまうと脂が溶け出てしまいます。
煮すぎは禁物です。
サッと煮てとろける食感、そして近江牛のうまみをお楽しみください。
そしてお店で食べる機会があるか、厚切りのお肉が手に入った時にはステーキがおすすめ。
シンプルに焼いて最初はそのまま味わってみてください。
その後岩塩をつけて味わうと格別の美味しさを実感できます。
牛肉と岩塩の組み合わせはとても良いです。
まとめ
近江牛は黒毛和牛の特徴ともいえる細かいサシがたくさん入った上質なお肉、そしてとろける口どけが魅力のブランド牛です。
滋賀県内の決められた生産農家の手によって手間をかけながらも大切に育てられてきました。
ブランド牛の中では出荷頭数が少なめではありますが、有名シェフや高級料理店からはメインとして選ばれるお肉も多いです。
そして三大和牛の中では比較的価格もリーズナブルといえるでしょう。
近江牛の中でも規格をクリアしたものには「認証 近江牛」がついているので、安心して買えるようになっているだけでなく、高い品質を保つことが出来ています。
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近江牛は三大和牛といわれる最上級のお肉。
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