仙台で牛というと食べ物で牛タンがありますが、他にもっとおいしいおすすめ牛があります。
それが仙台牛なのです。
仙台牛ってどのような牛なのか?といった仙台牛についての魅力や特徴、おいしい食べ方などについて解説していきます。
仙台牛はどんなブランド牛?
仙台牛は宮城県内で育てられた黒毛和種のブランド。
後ほどご説明しますが、他にも仙台牛の規定をクリアしたものだけが仙台牛として認定されます。
品質もよく何回も日本一に輝いた経歴があるブランド牛なのです。
黒毛和種について
和牛は種類が決められています。
日本国内で生まれ育った黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種と、4種間の交配種のみです。
農林水産省の「用牛の改良増殖をめぐる情勢」によると黒毛和牛の割合は約97%とされています。
和牛の中で黒毛和牛の割合が多くなり、他の褐毛和種、日本短角種、無角和種は頭数自体が少ない傾向にあります。
一例としてあか牛と呼ばれる褐毛和種に至っては1%以下という希少な和牛種となるのです。
黒毛和種の中には「日本三大和牛」と呼ばれている松阪牛・神戸牛・近江牛も含まれており、有名なブランド牛の多くが黒毛和種となります。
ご注意!仙台牛タンとは別です!
仙台でビーフというと思いつくのが「仙台牛タン」だと思います。
仙台牛タンを提供しているお店の多くがアメリカ産の牛タンを提供しているので、一般的に仙台牛タンと今回ご紹介している仙台牛は別のものになります。
仙台牛が誕生した地域
仙台牛が誕生した地、宮城県仙台市は自然を感じる事が出来る場所がたくさんあります。
大東岳・国指定天然記念物の姉滝・船形連峰・国指定名勝の秋保大滝・泉ヶ岳・二口渓谷・磊々峡・蕃山など。
山々が広がり多くの滝があり川が流れる自然があります。
そんな仙台の自然環境は牛の生育にも最適なのです。
冬は寒さが厳しく気温が氷点下になる事もありますが、厳しい温度環境があると牛の成長はゆっくりになります。
生育農家さんたちは手間を惜しまず、3年の期間をかけて品質の良い仙台牛を育てていくのです。
おいしい水と飼料が豊富
宮城県内はおいしい水にも恵まれています。
実際に、名水百選に選ばれている桂葉清水や金明水・田澤清水など有名な湧水も多くあります。
品質の良い牛を作るには豊富に飲める水も必要ですし、エサも重要です。
そして宮城県は米どころとしても有名ですよね。
おいしいお米が出来る場所だからこそできるのですが、ササニシキやひとめぼれなど品質の高いお米の稲わらを与えて仙台牛は成長していきます。
おいしい水、質の高い飼料が品質の高い仙台牛を作り上げているのです。
仔牛がストレスなく成長できる環境がある
品質の高い牛を育てようとする際に気をつけたいのがストレス。
ストレスがかからない状態で育った牛は肉質がとても良いと言われています。
一般的に肉牛を肥育する際は仔牛を買い付けて肥育していくケースが多いです。
ただ、仔牛を移動する際に移動のストレス、そして母牛から離されるストレスなどがかかってくるのです。
宮城県は畜産業が盛んな県としても有名。
常に飼養戸数や飼養頭数が上位にあがっています。
そのため仔牛が多く、県外からも買い付けに来ることが多い地域です。
生まれも育ちも一定の地域内となりますので、ストレスもかかりにくい環境となります。
肉質の良い仙台牛が多いのは納得できますね。
仙台牛が誕生した歴史
仙台牛の歴史は昭和になってから始まります。
昭和に入り徐々に肉食が一般的になってくると肉牛としての肉質を向上させるための試みが行われるようになります。
宮城県畜産試験場でも昭和6年から兵庫県より種牛の導入を行い改良を手掛けるようになります。
仙台牛の父といわれる牛
仙台牛の始まりとなる起点は昭和49年。
兵庫県から一頭の種牛を導入した事が始まりとなります。
その名は「茂重波(しげしげなみ)」号です。
「茂重波(しげしげなみ)」号の父は兵庫県でも有名な種牛として知られていた「茂金波(しげかねなみ)」号の生子となります。
茂重波号はその後、4万頭近い子孫を残しました。
そして肉質においても4・5等級の枝肉上物率を70%とする品質となる結果を残しています。
現在の仙台牛の品質の高さを作り出したのは、茂重波号がいるからこそといえるでしょう。
茂重波号の血統を引きついだ種雄牛たちの存在
仙台牛の多くが茂重波号の血統や遺伝子をひいていると言われ、その後誕生した「茂洋(しげひろ)」号は枝肉上物率87%とさらに品質を上げる結果となっています。
その後、茂洋号の血統を引く好平茂(よしひらしげ)号や勝洋(かつひろ)号等、強い遺伝子を持ち合わせた種牛たちも期待を寄せられており、これらの種雄牛たちのおかげで品質の良い仙台牛が日々誕生しているのです。
仙台牛の定義とは
仙台牛と認められるには以下の定義になります。
・黒毛和種
・仙台牛生産登録農家による管理
・宮城県内で肥育
・仙台牛銘柄推進協議会が認める市場及び共進会に出品
・(公社)日本食肉格付協会枝肉取引規格がA5またはB5
参考:仙台牛銘柄推進協議会
A5、B5と呼ばれるのはどのような規格なの?
よくメディアで牛肉が登場する時に「最高級のA5ランクです!」と紹介される事がありますよね。
このアルファベットと数字はそれぞれ違う等級を組み合わせて呼んでいます。
・歩留まり等級
牛肉は成長具合によって肉の付き方、脂肪の付き方に違いがあります。
脂肪層が多いと食べられる部分も少なくなってしまいます。
歩留まりとは骨や内臓をとりさった枝肉と呼ばれる段階でお肉として食べられる割合を示した等級です。
一頭から採れる枝肉の量が多いほど良質と評価されます。
AからCがあり、Aが最高ランクとなります。
・肉質等級
肉質等級は肉の色やしまり、キメ、脂肪の色沢や光沢、霜降りの入り方(脂肪交種)によって等級が決まります。
1から5の5段階があり、5が最高ランクとなります。
B.M.S.と呼ばれる脂肪交種ではNo.8以上が5等級とされます。
通常、4等級のお肉でも霜降りの入り方は充分といえるぐらいです。
ですが、仙台牛の場合は5等級のみとなるのでかなりきめ細かく霜降りが入っている上質なお肉というのがわかると思います。
三大和牛よりも厳しい基準
日本全国で300近い和牛ブランドがあります。
その中でも肉質等級が5等級のみとされる規格は仙台牛のみなのです。
日本三大和牛といわれている松阪牛・神戸牛・近江牛でも5以下の等級が含まれている状態なのです。
それだけ仙台牛は品質にこだわりを持っている最高級ブランドといえるでしょう。
仙台牛と仙台黒毛和牛の違いについて
肉質等級が5のみという厳格な基準があり、A5、B5出ないと仙台牛としては認められません。
以下の等級の場合は、「仙台黒毛和牛」となります。
・C5
・A4
・B4
・A3
・B3
ただ、仙台黒毛和牛といっても味は充分においしいとされています。
仙台牛と見た目の違いで言えば霜降り具合が少ないといったところでしょうか。
仙台黒毛和牛でも他ブランドと比較するとひけをとる事のない美味しさです。
仙台牛の出荷頭数について
宮城県内で牛肉が出荷されるのは年間で2万頭と言われていますが、その中でも仙台牛として出荷されているのは約3割ほどといわれています。
3,000〜7,000頭前後という出荷頭数でした。
他のブランド牛に比べると少ない方です。
仙台牛は定義もかなり厳しい方で、肉質等級が5等級まで行かないといけないという点もあるでしょう。
ただ、肥育している生産農家さんたちの技術や経験もあり、仙台牛の出荷頭数は上がりつつあります。
令和3年の例では約10,000頭の仙台牛が出荷されています。
仙台牛は日本一になった事も
和牛ブランドの品質の良さを知る目安となるのが品評会。
年に1回開催される全国肉用牛枝肉共励会もその一つです。
仙台牛は昭和58年度、平成6年度、13年度、28年度、29年度の全国肉用牛枝肉共励会で栄誉賞を受賞しています。
通算で5回、日本一になっており、品質の良さを高く評価されているのです。
安心して仙台牛を購入するために
仙台牛は安心して食べていただくために多くの検査を行っています。
・搬入時の生体検査
・と畜後の内臓検査、頭部検査、枝肉検査
・解体後のBSE検査※、放射性物質検査
上記の様に問題が無いか検査を行った上で出荷されているので安全性が高いというのがわかります。
※平成29年4月より24カ月齢以上で神経症状を有する牛のみが対象となっています
牛肉トレーサビリティー法により個体情報も検索可能
牛肉トレーサビリティー法は、牛肉のBSEまん延防止による「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」です。
国内で生まれた牛は全て個体識別番号が付けられ、管理されています。
個体識別番号を元に生年月日・性別・飼育者・飼育地など牛個体の情報を検索できるようになっています。
これらの情報がわかる事で、正規のブランド牛かどうかも知ることが出来るといったメリットがあるのです。
産まれてからどのような生い立ちなのかもわかりますし、安心できる流通ルートを通じているかも見る事が出来るようになっています。
仙台牛の味の特徴
仙台牛は肉質等級でも5等級のみとなりますので、肉質も柔らかくきめ細かいサシが入り込んでいるのが特徴のひとつといえるでしょう。
まろやかさもありつつ肉汁も豊富。
赤身のうまみと脂に含まれている甘みやうまみを同時に味わえます。
融点が低い良質な脂を多く含む
仙台牛を入手して手に取った時に驚くのは、手の温度で脂が溶けてしまう事ではないでしょうか。
仙台牛に含まれている脂はオレイン酸が多く、脂の融点(溶ける温度)も低いと言われています。
オレイン酸はオリーブオイルなどに多く含まれている不飽和脂肪酸です。
LDLコレステロールの上昇を抑える働きがあり、酸化もしにくい脂といわれています。
脂が低い温度でも溶けるため、仙台牛を加熱調理した際に脂が溶け、肉質がとろける食感になります。
脂っこい牛肉は苦手だという人には仙台牛をはじめとした和牛がおすすめです。
脂の融点が低い分、脂っこさを感じずに食べる事が出来ます。
仙台牛を食べるならこの食べ方で!
もし仙台牛のサーロインやフィレ肉が手に入ったらステーキがおすすめです。
仙台牛の赤身部分に含まれているうまみと脂に含まれている甘みとうまみ、同時に味わえます。
仙台牛をシンプルに味わえる食べ方となるでしょう
肉質も柔らかいので、おすすめの焼き加減はレアかミディアムレア程度が最適。
仙台牛のステーキは塩やわさびで食べるのがおすすめです。
そして薄切り肉が手に入った際はすき焼きがおすすめです。
モモ肉でも仙台牛の場合は適度に脂が入り込み柔らかいお肉です。
すき焼きで調理する時は最後にお肉を入れます。
さっと短時間煮る程度で充分です。
脂が溶け、柔らかさととろける食感が割り下にとてもよく合います。
ここ最近では仙台牛を使ったハンバーグも登場しています。
仙台牛は肉質も柔らかくジューシーな味わいなので、ハンバーグには最適。
肉汁あふれる焼き上がりになります。
そして脂の融点も低いといった特徴もありますので、脂っこさを感じにくいです。
まとめ
仙台牛は宮城県内の広大な自然環境の中、おいしい水とおいしいお米の稲わらを食べて育っているブランド牛です。
肉質等級が5のみという厳しい基準があるのも特徴のひとつ。
他のブランド牛では4等級も含まれるので、5等級のみの規格は仙台牛だけなのです。
そんな仙台牛はステーキやすき焼き、ハンバーグで食べるのがおすすめ。
仙台牛のうまみや甘み、香りの良さを存分に味わってください。
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